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今日覚えたい用語の使い分け

発音≠読み方

用語の使い方に誤解があるようです。

生徒:先生、発音がうまくなりたいのです。うまく発音できません。
先生:それはつづりを正しく覚えていないからだよ。たくさん書きなさい。そうすれば「正しく」「発音」できるようになりますよ。

なんだろう、会話がずれているように聞こえます。
文学を学びたい人が字の練習をしろと言われているような違和感を覚えます。

発音とは「発せられる音」が問題なのです。
[œ] という音がうまく発音できないから、本人は「心(cœur)」と伝えたいのに「授業(cours)」と伝わってしまうのです。じゃあそのときには…
これが発音指導です。
[œ] という音がうまく発音できないときに「cœur とつづりを覚えたら、正しく [œ] の音を発することができる」なんてことは、絶対にありません。もう一度言います「絶対にありません」。

「今、tu es [t]allé と発音しましたね。つづりを考えてみてください、t の文字はありませんね。」この指導はそのとおりで適切なものだとは思いますが、これは「発音指導」ではなく「読み方」の指導ですね。
大切なことです。「正しく」「読む」には「正しい綴り」は必要です。

ou と書いたとき(書かれているものを見たとき)に「オウ」と発音しないで
「ウ [u]」と発音しましょう
→ これは「読み方」の指導です。

tu es allé「ザ.レ」という音でリエゾンをし、elle est allée「タ.レ」という音でリエゾンをする
→ これも「読み方」の指導です。[z] [t] の子音の指導は必要ありません。日本人なら誰でもできる「音」ですからね。

[u] という音を発したいときには、唇を前に出して口の中の息の通り道を長く狭くして、下を後ろの方に引いて、低い音を心がけて「ウ」と言ってみてください。
→ これは「発音指導」です。

そもそも僕たち外国人がフランス人のように「正しく」発音するには、かなりを苦労を伴います。それよりも「間違いなく通じれば」いいのです。通じさせるためには [œ] [u] の区別はできたほうがいいのです。考え方の出発点はここだと思っています。

何回も書いてつづりを覚えなさい!発音も良くなりますよ。
はあ、何を言っているのでしょう。

何回もこの文を口頭で繰り返しなさい、つづりも良くなりますよ。
そんなこともまずないでしょう。

最後に、学習者だけでなく、教育側にいる皆さんにお願いです。
「読み方指導」「発音指導」と呼ばないでください。
「発音指導」を受けるには「プロ」にお願いしてください。「読み方指導」をしてくる先生は、おそらく「発音指導」は苦手でしょう。

そもそも、フランスで長く暮らしている日本人でも正しくフランス語が書けない人は山ほどいますし、日本で長く暮らしているフランス人で日本語が話せない人はいないでしょうが、多くの人は「書けない」のです。
日本語は「話せる ≒ それなりに正しく発音できる」けれども、書けないし、ましてや「読む」ことなんてできないですよ。

用語は正確に使いましょう。
簡単なお願いですが、なかなか難しいようですね。

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