隣の男/女
左の男/女
フランス語でどう言いますか?
l'homme à côté(la femme à côté)
l'homme à gauche(la femme à gauche)
こうなると思いますよね。
「〜の隣」は à côté (de) だし、「〜の左」は à gauche (de) ですからね。
しかし一般的には次のようになります。
l'homme D'à côté(la femme D'à côté)
l'homme DE gauche(la femme DE gauche)
1. 「〜の」に相当する de が登場します。
2. à côté の表現では à が残り d'à côté となり、à gauche の表現では à がなくなり de に置き換わっています。
de が登場する理由はある程度説明できるのです。
フランス語の前置詞(句)は基本的に形容詞的ではなく「副詞的」なのです。目の前の辞書で à côté (de) の表現を探して例文を見てください。直前の名詞ではなく動詞に説明を加えていると思いませんか。en face de も同様です。
La mairie est devant la gare à côté de l'église.
役所は駅の前、教会の横にある。
Mettez vos affaires dans la salle d'à côté.
荷物は隣の部屋に置いてください。
Je déjeune au restaurant d'en face.
向かいのレストランでランチをする。
下の2例文を à côté にすると動詞が遠くて居心地が悪いし、修飾したいのは la salle や restaurant ですよね?こんな場合は、より直前の名詞と繋がりやすい de を必要とするのです。
という訳で、l'homme d'à côté や la femme d'en face と表現するのが自然なのです。
ではなぜ l'homme de gauche となり l'homme d'à gauche とは言わないのでしょう?
う〜ん、わかりません。現象を「文法的に」説明するのは、さほど難しいことではありません。
この場合 gauche は名詞として使われているために前置詞は一つしか必要がない。方向の à が起点の de に置き換わったのです。
でもなぜ、l'homme d'à gauche とは言わないのでしょう?
調べてもわかりませんでした。まあそこが「生きた言語」の学習の面白いところです。
先月、先週というのに、先年とは「普段は」言わない。
先日という表現は普段遣いではあるけれど「昨日」とは意味がずれている。
"la femme d'à côté" というタイトルの映画を思い出したので、今日の記事に繋がりました。