容器や単位の de の後に冠詞は必要ありません!
名詞には(ほぼ)必ず「冠詞」(または冠詞に変わるもの)が付きます。
mon café, le café, du café, un café…
または容器や単位を指し示す語群がつくこともあります。
une tasse de café, un grand bol de café, un litre de café(液体), un kilo de café(液体でも豆でも)...
これら une tasse de のような表現は冠詞の代わりとなり、café に他の要素をつけてはいけません。
○ une tasse de café
× une tasse du café
× une tasse d’un café
フランス語の授業やピアノのレッスンという表現も、一般的には次のように使われます。
un cours DE français
une leçon DE piano
これはどう考えればいいのでしょうか?
わたしはこう考えます。
名詞の前にあるものは次に置かれる名詞に「1. 名詞としての役割」と「2. 名詞と世界との関わり(すなわち意味)」を与えます。
「名詞としての役割」
C’est une bête. 獣である。
Il est bête. 獣のようである ≒ バカである。←形容詞
Je suis le café. コーヒーの後をつける(睡眠薬を入れた危ないコーヒーが提供されてよからぬ犯罪が起こりそうな時に、警察がウーバーの後をつける)
Je suis (très) café. 大のコーヒー好きである。←形容詞
J’ai acheté cette belle rose hier. 昨日このきれいなバラの花を買った。
J’ai acheté cette fleur rose hier. 昨日このバラ色の花を買った。←形容詞
「名詞と世界との関わり」
une bête 一匹の獣
le café コーヒーと名のつくもの
cette rose 目の前にあるバラ
「一匹の」と言って、ぼんやりと影のようなぼんやりとした「なにか」を想像させます。その後でその「実態や中身」を発表するのです。「その、または全体の」→「コーヒー」、「この目の前にある」→「バラ」も同様です。
une tasse de café 一杯のコーヒーの場合も同様です。「カップ一杯」というのは次に名詞をつなげる役割を持っていないので、万能のつなぎ言葉 de を借ります。ただそこにはすでに「1. 名詞としての役割」と「2. 名詞と世界との関わり(すなわち意味)」を与える une tasse が存在していますから、de の後に別の「役割を与える語」をつける必要がないのです。
そしてその後で、「実態や中身」を発表するのです。
言い方を変えれば、une tasse de café、un cours de français や une leçon de piano という表現において(あえて言えば)重要な伝えたい語は café、français と piano なのです。それがどのような形で提供されているのかというのが une tasse (de) や un cours (de) 、une leçon (de) という訳です。
Je n’ai plus de cassettes. や Je n’ai pas d’amis germanophones. も同様に説明ができるので、de の後には一般的には冠詞は必要がないのですね。
ご参考までに。