「冠詞」
なんだか冠詞の話を書くと「いいね!」が多いので、調子に乗って書いてみます。
日本語と同じように(← ココ重要です)フランス語には多くの慣用句があります。
その多くの表現の「冠詞あるナシ」も、一般的な冠詞の解釈で説明できます。
Il est fier comme un paon.
(孔雀のように)自慢気である
Il est gros (gras) comme un cochon.
(豚のように)太っている
Elle mange comme un cochon.
(豚のように)下品に食事をする ← 豚さん、かわいそうですね
Je suis myope comme une taupe.
(モグラのように)近眼である
Elle parle français comme une vache espagnole.
(スペインの牛のように)フランス語が下手だ。
これは元々 comme un Basque だったのですが、いろいろあって「音が近い」という理由で、un Basque → une vache に変わったようです。
これらの表現から見えるのは、自慢気な孔雀、太った豚、(漫画のようなメガネを掛けた)近眼のモグラ、フランス語が下手なバスク人、ですね。
それら(彼ら)を適当に「一人・1匹」取り出して、それと主語が同じように〜だ、と説明しているのです。
次の表現はどうでしょう。
Il pleut comme vache qui pisse.
(牛のおしっこのような大量の)雨が降っている
Je crois dur comme fer.
固く信じている
C'est bête comme chou.
(問題などが)とても簡単だ
ここに見られる comme + 無冠詞名詞 は「イメージ」なのです。具体的に任意の何かを持ってきて、それと同様に〜である、と言っているわけではないのです。
vache qui pisse ≒ 大量である
comme fer ≒ 固く
comme chou ≒ ばかみたいに(19世紀ではキャベツは「人の頭とおしり」に例えられていたようです。頭=おしり=キャベツ を同じと捉えて「働かせないで付いているだけ」という類推になったようです。現代では人には使いません)
最後にこんな表現です。
Il est connu comme le loup blanc.
(白い狼のように)皆に知られている。
山から狼が降りてくると、家畜に被害が出るのではないかと村人たちが「狼が来たぞ!」って口々に噂をしていったのです。それがあっという間に村中に知れ渡った頃には、「村人全員の共通認識」となっているわけです。
「共通認識」の le なのです。
19世紀になってより個体が少ない「白い狼」という表現に変わったようです。
冠詞があったりなかったりって、厄介ですよね。
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