一般的な文法の教科書や参考書にはこう書いてあります。
フランス語には冠詞は3種類存在する。
定冠詞、不定冠詞、部分冠詞である。
私は言語学者ではなく1フランス語教師なので、この説明が正しいかどうかを判断するもしくは評価する立場にはありません。
学習の理解の助けになるものであれば、どんなものでも受け容れます。
「正しいかどうか」なんてのは二の次です。
下記の例文は実際に耳にしたものです。
参考書レベルでの解説では全く歯が立ちません。
仮説というか私の考えで普段こんな風に説明をしているのですが、なんとか納得してもらえるようです。
前置詞(これを前置詞と呼んで良いものかは甚だ疑問ですが)de + 定冠詞には名詞そのものではなく、それに付随するものを表す用法がある。
「〜的なもの、〜っぽいもの」という訳を付ける場合もあります。
C’est du français ?
これってフランス語?
言語としてのフランス語ではなく、使われる場面におけるフランス語、もしくはその理解
Ça c’est de la voiture.
これこそが車だよ。車ってこういうもんだよね。
機械としての車ではなく、道具や移動手段としての車
Il y a du soleil aujourd’hui.
今日は太陽が出ているね。
天体としての太陽ではなく、それに付随する光
Elle a envie d’avoir toujours de la France sur elle.
あの子はいつも「フランス」を身につけていたいんだよね。
国家としてのフランスではなく、そこに付随する文化的や歴史的なもの
Quand je suis fatigué, j’écoute du Mozart.
疲れた時にはモーツアルトを聴きます。
人物としてのモーツァルトではなく、音楽家としてそこに付随する楽曲や作曲の論理
こんなおもしろい表現があります。
今日の表現として、最後に書いておきたいと思います。
C’est du chinois.
= Je ne comprends pas.